突然だが、みなさんは”クリガニ”というカニをご存じだろうか。



あまり聞き慣れない名前だが、青森県では「花見ガニ」とも呼ばれ、一部ではファンの多いこちらのカニ。
見た目は毛ガニそっくりで、味噌もしっかり入っており、旬の春先にはまさに花見に欠かせない味となっているそうだ。
実はこのカニは東北地方や北海道南部に生息しており、季節になるとスーパーに並んでいたり、投げ釣りの外道として釣れたりと地味に触れる機会がある。
毛ガニと比べると少し小ぶりではあるものの、新鮮なものを塩ゆでなどにすると下手な冷凍物の毛ガニよりもメチャクチャ美味しい。
今回はそんな知る人ぞ知るこの”クリガニ”を、生態から食べ方まで詳しくご紹介していく!
クリガニってどんなカニ?
~クリガニとは~
・産地は北海道・青森県で多く見られ、水深50m以浅に生息→このため釣りでも掛かりやすい
・あまり流通量は多くなく、ほとんどが地元で消費される。
・旬は晩秋から初夏までで、春先は内子も楽しめる
冒頭でも書いたように青森県など一部地域ではファンも多いローカルフード的存在。毛ガニと比べるとサイズが小さくて食べるところが少ない反面、そのお陰で値段は安い!
漁としては他の一般的なカニ同様にカニかごを使って、水深10~20メートルの浅場で行われることが多い。
地域によるが、1パイ辺り数百円と比較的安価で取引されている。
毛ガニ?クリガニ?見分け方について
毛ガニそっくりなクリガニだが、見分け方はいたって簡単。
上が一般的な毛ガニ。下がクリガニ。
クリガニは全体的に小ぶりで、甲羅の形も毛ガニと比べ中心部がせり出したようになっている。




どちらかというと甲羅の形はイシガニに近いかもしれない。パッと見た感じは似ているが、しっかりと間近で特徴などを確認すれば毛ガニと間違うことは少ないだろう。
新鮮なクリガニの見分け方!
クリガニをはじめとするカニ類は鮮度が非常に落ちやすい。
なのでクリガニを購入するときは必ず生きているものを選ぶようにしよう。
生きているか、死んだカニかを見分けるコツはとっても簡単で…。
・ハサミや脚、口元などが動いている個体を選ぶ。
また脱皮したばかりのカニは身がスカスカなことがあるので、甲羅が堅くがっちりとした個体を選ぶようにするとさらに美味しいクリガニを楽しむことができる。
さっそく調理開始!塩ゆで編
それではさっそく調理に移っていこう。
まずはお手軽な塩ゆでにしてみる。カニはどの種類も鮮度が下がりやすく、状態としては活けのものを選ぶようにしよう。
・水
・塩(水の2~3%)
レシピといっても用意するものは水と塩だけ。



とっても簡単だね!
塩の量に関しては毛ガニの塩ゆで方を参照している。
通常だと3%程度が妥当なのだが、クリガニは小さいので2Lに対し40gの塩を用意した。
①まずクリガニの体付いている泥を歯ブラシなどを使って丁寧にこすり落としていく。
この時、ふんどしや脚の隙間も丁寧に。
画像がその汚れ。
こすり落としたクリガニの体を軽く流すだけで結構な泥が落とすことができた。
②綺麗に洗ったら、カニの体に輪ゴムを掛けて固定する。
こうすることにより、お湯に投入して暴れた際に脚が取れるのを防ぐことが出来る。
これで下ごしらえは完了だ。
クリガニをお湯に投入!
次に鍋にレシピと同じ分量の塩を入れ、沸騰させる。
お湯が沸騰したら、ゆっくりとカニを鍋に投入していく。
画像ではスペースの関係で2杯が反対になっているが、甲羅を下にしてゆでるとカニミソが抜けにくくなる。
カニを投入すると一旦お湯の温度が下がるので、再沸騰してからタイマーをセットするようにすると◎。
茹で時間は8分。鍋にふたをしてじっくり待つ。



時間が経つにつれて、鮮魚コーナーで見覚えのある綺麗な色合いに。
あとはざるにあけて・・・
ゆでたてクリガニ、完成。
ざるにあけると、綺麗にゆであがったクリガニにたちまち湯気が立ち上る。
この時点でもうめちゃくちゃ美味しそうだ。
すぐにでも食べたいところだが、5分程度置いてあら熱と水気をとろう。
クリガニの蒸し方!
お次は蒸しクリガニの作り方をご紹介していく。
塩ゆでと違って蒸し器が必要なものの、蒸すことによって香りが逃げ出さないので、クリガニ本来の香りや旨みを一番楽しむことができる。
家に蒸し器がないという方向けに朗報!ダイソーで簡易蒸し器が200円くらい?で売っている。
なお↓画像に写っている物がまさにそれ。ひとつあれば調理法も広がるのでぜひ入手をおすすめしたい。
茹でる時と同じくクリガニの汚れをブラシなどを使って落とし、水を張った蒸し器に甲羅を下にしたクリガニを並べていく。
あとは蒸し器に蓋をして10分間蒸すだけ。
これだけで美味しい蒸しクリガニの完成だ。なお蒸す前に料理酒をカニに回しかけると臭みが抜けるとのことなのでおすすめ。
クリガニをいざ実食!そのお味は!?
そしてこれが完成したクリガニの塩茹で。
茹であがった姿はまさに”毛ガニ”
正月前のアメ横にでも並べれば、1パイ3000円は取れそうなビジュアルだ。部屋中にカニのいい匂いがいきわたる。
そして読者のみなさまが一番気になるのがミソの部分だろう。さっそく甲羅を外してみると・・・



殻の中にたーっぷりと詰まった濃厚なカニミソ!さすがは毛ガニの親戚といったところだろうか。
小さいボディにミソがぎっしりと入っている。しかも甲羅だけではなく胴体にも溢れんばかりのミソが確認できる。
もう待ちきれない。さっそく味見してみよう。




口に入れた瞬間、潮の香り豊かな濃厚な味わいがグッと押し寄せてくる。新鮮だからか臭みなどは一切感じられない。
これが一杯数百円のカニとは誰も思わないだろう。
毛ガニとの違いといえば少し味が濃いことだろうか?
味噌だけの味で言えば、筆者的には毛ガニよりも好みかもしれない。
続いては脚の身をいただいてみよう。
ハサミを使って殻を開いてみると、身入りが少し寂しいかなといった印象。
ここはさすがに本家本元の毛ガニ様には劣るようだ。
ただ気になる味はというと・・・



This is KEGANI
ボリュームにかけるものの、味は毛ガニとほぼ一緒。
こんなものが1パイ数百円程度で売られているんだからヤバイ。
下手な冷凍毛ガニを買うくらいなら、大き目のクリガニを買う方がコスパ的によっぽど良さそう。そんなレベルの旨さだった。
見掛けたら即買い!クリガニをぜひ!
そんなわけで今回は、隠れた逸品「クリガニ」をご紹介してきた。
本州ではあまり見かけることはないかもしれないが、新鮮なものが売っていたら間違いなく即買いをオススメする美味しさ。
なお塩ゆでするには小さいかな?という個体の場合は、脚の部分を割って味噌汁にするのがベストだ。
調理法もゆでるだけととっても簡単。姿も味もまるで毛ガニなクリガニ。
スーパーなどで見掛ける機会があればぜひご賞味あれ。
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