突然だけど北海道って広い。
その面積は離島などを含めて83450㎡。
日本の大都市・東京都の約38倍だ。
それだけ広いと端と端では気候なども全く異なり、もちろん釣れる魚もがらりと変わる。
そして道民はより良い魚を求めて道央から道東、道東から道北と大移動。
これが俗にいう遠征というやつなのだが、まさに筆者は先日、道南から道東への約550キロという変態的な遠征中だった。
そこで今回は道東でシシャモ、道南でシロギスという100%出会うはずのない魚を一日で大移動して全く違う魚を釣ってみようという個人的趣味に挑戦してみた。
こちらの魚の共通点はともにパールピンク。さながら道東と道南の宝石探しというわけだ。
変えるのはタックルだけ、餌は最初の地で買ったイソメのみ。
果たしてチャレンジは成功したのか。
まずは釧路でシシャモ釣り。
まず第一に狙うのは道東のシシャモ。
釣行したのは9月頭。9月中頃からが本格シーズンなので本当に釣れるか少し不安なところだ。
なお過去の釣り方記事でも書いたように主に釧路港周辺でしか釣れないレアな魚。
必要なタックルは画像の通り。
生のイソメにサビキ仕掛け、そして適当なパックロッドに小型リール。
数釣りをするなら磯竿との2本体制で臨みたいところだが、今日の目的はあくまでシシャモと出会うこと。
仕掛けは釧路市内の釣具店なら専門の物が販売されているのでそれを選ぶと釣果もアップする。
時間がないので鬼集中。
現地に着くと角の好ポイントから中間に向けて20人ほどのおじさま方。
この日は平日ということもあり、非常にゆったりとした時間が流れている。魚もぽつぽつとしか釣れていない。
ちなみにのんびりと撮影しているように見えるが…
実は飛行機のフライト時間まで残り100分だ。
釣り場から空港までは約30分。移動と手荷物検査の時間を考えるとやれるのは正味40分。
こんな一刻を争うシシャモ釣りをする人間は世界初じゃなかろうか。
まあシシャモを釣っていて飛行機に乗り遅れたというのもネタにはなりそうだが…(アホ)
サバ、キュウリ、本命!?
開始からクライマックスみたいな時間なので、急いで竿を上下にフリフリしてシシャモを狙うのだが時刻は真昼間の10時。
群れさえ入っていれば釣れるシシャモといえど、そう簡単には当たりがない。
たまーに魚信があって上がってくるのはシシャモとそっくりなキュウリウオ。
見た目はそっくりで間違えがちなのだが名前の通り”物凄い胡瓜臭”がするのですぐに見分けられる。
キュウリウオ。シシャモと違って獰猛そうな歯がある。
ちなみにこいつはから揚げにすると胡瓜臭が消えて美味しくなる。
まとまった数が釣れそうなので同行者の特派員I氏君用にキープ。
ちなみに筆者がキュウリ地獄にあっている間、特派員はサバ地獄に見舞われていた。
残り時間20分。なにやら雲行きが怪しいぞ。
そして現れる第一のパールピンク。
タイムリミットが迫ってきたところで、少し激しめに誘っていた筆者の竿にククンっと前あたり。
すぐに合わせるも乗らず。慌てず同じテンポで誘っていると…。
HIT!!
この小さくも力強い引きは間違いなく本命っぽい。
期待をして巻き上げてくると、第一の目的である道東のパールピンクが姿を現した。
美しい本シシャモ!!
今時期のシシャモは産卵のために接岸しており、秋が深まるにつれてカラスシシャモと呼ばれるほど黒っぽく体色が変化していくのだが、シーズン序盤のシシャモは画像の通り美しいパールピンク。



そしてほぼ同時刻、左10m先くらいのおじさんから歓声が上がる。



おおーっと上がる歓声。
どうやら小さな群れが通過しているらしく、おじさま方にもぽつぽつと本命の姿が見え始めた様子。
本当ならもっと写真を撮っていたいところではあるが、急いで餌を付け替えて数を稼いでいく。
特派員初GET!!
ここでシシャモ釣り初挑戦の特派員にも本命がヒット。
初めて見る魚体にしばし見とれるI君。やっぱりシシャモが釣れるっておもしろいよね。
そうこう楽しんでいるうちにタイムリミット。
最後に小さな〇ンポ(ガンズ)を一匹追加して終了!締めがまさか君とは。
まあ正味40分という超短期決戦で結果が残せて本当に良かった。
次の決戦の地へ移動。飛行機乗り継いで南へ。
すぐにシシャモを保冷バックへ仕舞い込み、アキアジ釣り遠征中にお世話になった特派員I君に別れを告げて次の目的地へ。
窓からはすぐに釧路湿原が見えてきたが、連日の釣行の疲れがたまっていたのかそれ以降の記憶がない。
また会おう。釧路。
移動時間が唯一の休み時間という売れっ子芸人並みの睡眠を取りながら30分ほどで札幌・丘珠空港へ着。
ここに海はないのですぐに移動。同じ県内(道内)なのに飛行機を乗り継ぐ必要性があるところにこれまた北海道のデカさを感じる。
先ほどの湿原とは全く違う風景、函館港。さあパールピンクはどこだ。
これまた飛行時間30分ほどで南のパールピンクが棲む函館へ到着。
すぐに飛行機を降り、アキアジタックルを自宅へ投げ込んでキス釣りのタックルを車へ詰め込み、最後のターゲット捕獲へ。
550キロ移動してもサバ。
そして550キロの大移動をしてたどり着いたのは自宅から20分ほどの砂浜。
晩秋に最盛期を迎えるシシャモとは反対に、8月いっぱいがハイシーズンのシロギス。9月に入ってもまだいるだろうか。これまた不安な釣りのスタートだ。
時刻は4時過ぎでシシャモの時よりは時間はあるものの、そこまでのんびりと釣っている暇はない。
朝釧路で購入した新鮮なイソメを付け、6色付近へ遠投。ゆっくりサビいて当たりを待つ。
すると3色付近に差し掛かったところでガツっと当たり。しかも連続で。
海面に姿を現したのは先ほど道東で特派員の仕掛けをぐちゃぐちゃにしたサバだ。
いくら500キロ離れた土地で同じ魚種を釣ったといえど、サバでは何のネタにもならないのですぐにリリース。道東&道南のサバ味比べ!くらいのしょぼいタイトルしか思いつかない。
そして南のパールピンク!え、尺ギス!?
やはり9月に入って群れも薄くなったか。一向に当たりがないので少しずつ横に移動して釣るカニ歩き作戦に移動。
すると元の場所から50mくらいの地点でブルルっと当たり。
めちゃくちゃ本命ぽかったがこれは空振り。残り少なくなった餌を新しくしてもう一度同じ地点へ遠投。
すると…。ブルルッ。
乗った!!
時折小気味良い引きを見せ、波間から目的の南のパールピンクが姿を現す。
道内2種目のパールピンク!!
よかった。まだいた。道内2種目のパールピンクを無事捕獲。
さすがはパールピンクの女王「シロギス」。こちらはシシャモよりピンクがかった色合いでより美しさが増している。
まだ群れは居そうなので再び同じ地点へ。
しかしここで奇跡は起きた。
時刻も日の入り30分前を迎えている。辺りは太陽がオレンジに色に染まり、何かが出そうな雰囲気。
餌取りのフグを警戒して、少し早めにサビいていた時だった。
先ほど同様ブルっと当たりがあったかと思いきや、これまでにない重量感。
多点掛けか?それともカレイなどの別の魚種?と思わせるほど時折突っ込むような気持のいい引きをみせる。
そして回収寸前。目の前に現れたのはシロギスなのだが、やたらデカく見える。
ん???
んん??
一瞬目を疑った。ってか震えた。
筆者も北海道で初めてシロギスを釣ってからまだ10日も経っていないのだが、明らかに規格外(笑)
本州で釣っていたのは中学生の頃だが、その頃から遡ってもこんな大きさのキスは雑誌でしか見たことがない。俗にいうヒジタタキクラスか。
手尺で測っても明らかに20cmどころか30cmに近いサイズ。
そしてなんだこの太さは。先ほど釣ったシロギスと比べてもおかしい。太すぎる。
もうこれ、北海道で釣れる最大サイズじゃなかろうか。
1匹だけで行動していることはなさそうなので、暗くなるまで粘ったもののこの1匹で終了。
いや、これは550キロ移動して釣ったご褒美といってもいいだろう。
まとめ、北海道はやっぱ広いよ。
そんなわけで今回は北海道の端から端まで移動して同じパールピンクの魚を狙ってみた。
なおシシャモは毎年時期になると釣れる魚ではあるが、シロギスに関しては例年はワンシーズン狙っても数十本釣れればいいお魚。
豊漁だった今年だからこそ成功した奇跡の釣行といってもいいだろう。
そしてどちらの魚種も時期的には難しい状況だったが、結果としては大満足!
あ、こんだけ本気出して釣った2魚種ですが、一緒に撮影するのを忘れ、ご対面したのは捌かれてからとなった。


