さて本日は道立総合研究機構さけます・内水面水試が6月に発表した2021年秋に来遊する鮭の来遊予想について。
昨年の予想は1990万3千匹に対し、1833万匹とほぼほぼ予想通りになっていたこの来遊予想。
昨年は平成以降で3番目に少ない数量を記録するなど、最近は記録的な不漁が相次いでいる鮭だが、今年は果たしてどのような予想になったのか。



今年の秋サケ来遊予想も厳しい数字に。
昔は北海道沿岸に3000万~5000万匹程度が来遊していたとされる鮭だが、今では例年2000万匹以下が続いており、データによる予想では今年も厳しい状況になるとみられる。



なんと今年の秋サケ来遊予想の北海道の総計は1677万2千匹。前年実績比にして8.5%減となる見込みだ。
この数字は記録的な不漁となった17年の数字をも下回るものとなっている。




ではいったいどのような要因で減少と予想されたのだろうか。
オホーツクやえりも以東など海区ごとの細かい来遊予想を交えながら見ていこう。
海区ごとの秋サケ来遊予想について
令和3年予想値(千匹) | 前年比 | |
オホーツク | 883万5千匹 | ー9・1% |
根室 | 160万6千匹 | ー6・7% |
えりも以東 | 101万3千匹 | ー12・8% |
えりも以西 | 180万3千匹 | ー20・4% |
日本海 | 351万5千匹 | 1・4% |
(道立総合研究機構さけます・内水面水試HPから作成=https://www.hro.or.jp/list/fisheries/research/hatch/section/shigen/att/R3akisakeyosoku.pdf)
赤字が昨年と比べてプラスになった海区で、青字がマイナスと予想される海区。
パッと見て分かるように、日本海以外は全て昨年よりも悪い数字となっている事が分かる。その中でも減少率が激しいのが日高や胆振管内など有名鮭釣りスポットが多い”えりも以東”のようだ。
日本海だけは増加になっている!
それに対して唯一赤字(増加)になっているのが日本海側。



確かに昨年の鮭釣りでもこのエリアは好調だった記憶がある。筆者も昨年釣った鮭はほとんどが日本海で、地元の住民も「こんなに釣れるのは珍しい」と声を揃えていたほどだった。
この要因について新聞などのメディアによると
日本海は対馬暖流の流量と因果関係があり、「流量が強く宗谷海峡に流れ込む年に生まれた年級は生き残りが良い」(同)傾向にあるという=みなと新聞6/28日版、一面
と推測されている。
では鮭来遊の減少の原因は?
ではなぜ今年の来遊予想は過去最低となったのだろうか。
同水試は「稚魚が海に出た時期の海水温がサケの成育に適した8~13度だった期間が短く、生き残る稚魚が少なかった」と分析している。=北海道新聞7/2日、朝刊
これに加えて鮭の若齢化がすすんでいる。
2000年代初頭の豊漁時には4・5歳が平均年齢だったのに対し、近年は4歳前後になっている。つまり初期成長が良いサケばかりしか回帰できない環境になっているのも問題になっているようだ。




もうすぐ始まる本格的な鮭釣りシーズン。
この鮭の減少は釣り人にとっても他人事ではない。ルールやマナーはもちろんのこと、卵だけを抜き取って捨てるなどもってのほか。自然豊かな北海道ならでは鮭釣りを続けていくためにも、節度を持って楽しんでいきたいところだ。