大阪でうなぎ釣りシリーズ後半。
初日は安定の外道のみで終わった筆者。果たして狙いのうなぎと出会うことはできたのか。
2日目!淀川へ挑む。
ホテルに戻って作戦を練り直し、翌日の釣りのポイントを選びなおす。
ポイントの絞りやすい支流か?はたまた大阪名物”淀川”にチャレンジするか?
正直言うと昨日のポイントも期待度は十分に合ったため、もう一度狙って攻略しつくすのもありだったのだが、チャンスはこの日を含めてあと2日。
ここは思い切って新規開拓を目指すことに。
狙うはもちろん淀川だ。
ポイント到着。雰囲気はよし?
頼むぞ恵比寿様。
なお大体のポイントは例により、ネットの情報から選定。
一番釣れるのは8月以前という書き込みが気になったものの、とりあえずうなぎが確実にいることは間違いないポイントを選んでみた。
釣り場の途中でビールとアタリメを購入し、じっくり待つ準備はばっちりだ。
この日も昨日同様、ロッド2本、ペットボトル3本を用意してじっくり当たりを待ってみる。
震えが止まらない事件発生。
すっかり日も暮れてきて、チャンスタイムが到来したその時だった。
今日の餌は昨日のポイントで採取してきた極上ドバミミズだったのだが、筆者のうっかりミスでジップロックを密封したまま保管してしまった。(もちろん逃げ出すのを防ぐためだったのだが…。)
なので半分以上が弱って瀕死。
使える個体だけ選別して、動きが悪いダメなものは川へ逃がしていた。
その逃がしそびれた個体が足元付近に落ちていたのだ。
その辺りに何気なく視線を落とすと、なんか黒いものがふわふわ動いている。
ん?なんだろう?ゴミ?
視線を近づける。
…
うわああああああああああああ
※閲覧注意 画像クリックで拡大。虫嫌いは絶対に見ない方がいい。
群がる無数の何か。この世の物とは思えないほど華奢なビジュアルでドバミミズに群がってる。
ていうか体を左右に揺らしてまるでダンスのような動きをしている。なにこれ威嚇???
虫に関してはダニから便所コオロギまで怖くない筆者だが、もう絶句。というか一気に走って逃げた。
離れた場所で震えながらスマホを手に取り「細い クモ」などというワードで調べてみると奴がヒット。
名前は”ユウレイグモ”というらしい。家の中のハエなどを食べてくれるらしいが、これだけ集合でやられると鳥肌しか立たない。無理だ。
そして問題はこれだけではない。
餌があるとわかっているのか、それとももともとここがこいつらの巣窟なのか、アスファルトをよく見たらめちゃくちゃこいつらが歩いているのだ。
虫嫌いでは決してないのに、もう気絶寸前の筆者。いや、思い出して書いているだけでも鳥肌ものだ。
とりあえず釣り竿付近だけは何とかしようと、弱ったミミズ数匹をまとめて離れた場所に投げ、そっちにおびき寄せる作戦に。
いや久しぶりに死ぬかと思った。
巨大手長エビとモクズガニゲットで終了。
結局、せっかくの淀川戦なのに全く集中できないままでこの日の釣りも終了。これはすべてユウレイグモのせい。
唯一の収穫はペットボトルと同サイズの巨大手長エビとモクズガニのみ。
本命らしき当たりは一度なし。
全く成果のないまま、次がラスト釣行となってしまった。
昼間は不審者になって…執念のミミズ堀
そして一日空けて最終日。
この日は飲み会があったので、夕マズメのチャンスはなし。
なんとしても本命の1匹に出会いたかったため、昼間のうちに餌の採取に走る。
「ミミズ 大阪 採り方」「ドバミミズ 大阪中心部」などと一般的な人間なら滅多にしないようなワードをgoogleに打ち込み続け、やっとの思いで見つけたのが大阪駅から地下鉄でほど近い公園。
もちろん今は真昼間だ。夏休み期間のため子どもたちはおろかカップルまでいる賑わった都会の公園だ。
ただありがたいことになかなかの敷地の広さに木がたくさん植えられており、ミミズの居そうな気配はムンムン。
とりあえず道を迷った振りをして、サッと木の茂みに入り、スコップで土を掘り起こす。
1箇所目…外れ。
2箇所目…外れ。
おかしいな。やっぱり雨が少ないせい?
何度も茂みから出てはスコップをカバンに仕舞い、完全不審者なスタイルで公園をうろつく筆者。
誰だ自称好青年とか言ってたやつは。
北海道からきて都会の公園でミミズ堀して、もうただの怪しい奴じゃないか。
しかしここで諦めたら1年にたった1回のうなぎ釣りチャンスが途絶えてしまう。
さすがにこれ以上は恥ずかしいと思い、やらなかった奥の手。
伝家の宝刀”側溝の蓋を外す作戦”
ここは都会の公園。注意しておくが真横はカップルや親子連れが通る。
もう人の目は気にしない。
自分は側溝を掃除するおじさんだ。北海道から来て北海道の側溝を掃除しているおじさんなのだ。
嬉しいことに?やはり土にたっぷり水分を含んでいるので、出るわ出るわ大型ドバミミズのオンパレード。
少しでも変質者でないことを示すため、あえて大きな声で「おー、いいミミズだ」などと声を発しながらミミズを掘り出していく。
ちょっぴり涙が出たのは気のせいだろうか
終電間際。最後の釣り場へ。
そして舞台は最終釣行。
自分を捨ててまで捕まえたミミズと共に、一番期待値の高そうな淀川支流域へ。
初日とは少し距離が離れているが同じ河川だ。
悲しいことに、先輩らとの飲み会の席が伸びに伸び、釣り場への到着時間は終電間際の午後23時。
ハッキリ言って時合は完全に過ぎている。
フライトは翌日の午後なので、もう朝まで悔いなくやってそのまま飛び立とうという魂胆だ。
うなぎおじさんとの出会い
案の定全く当たりのないまま日付は変わり、もはや大阪のうなぎは幻かと思って諦めかけたその時。
なにやら自転車のカゴに白いネットのようなものを入れた、一見ホームレスのようなおじさんが現れた。
気になってみていると、おじさんはそのネットを川につながれたロープに結び始めたじゃないか。
…これはもしや?
思い切って声を掛けてみると、やっぱりうなぎ釣り師だ。
釣れましたか?と声を掛けると驚きの釣果を見せてくれた。
詰め込まれた憧れのうなぎ。
めっちゃいるやんけ!!!
その数10本近く。憧れていた大阪産うなぎを目の前に、すぐに詳しく話を聞く筆者。



マジですか。
なんでも今乗っている電動自転車もこの辺りで釣ったうなぎたちを売って買ったものらしい。
筆者が北海道からわざわざうなぎ釣りをしに来ていると話すと、「あっちの方がいい魚いるやろ」とごもっともなツッコミをされつつ
「これからだと満潮からの下げで午前2時ごろにチャンスがある。まだ諦めるのは早いで」
と的確なアドバイスと同時に歩いて数百メートルの好実績ポイントを教えてくれた。
「ほな頑張ってね」とうなぎで買った電動自転車にまたがり、さっそうと消えていくうなぎ仙人のおじさま。
もうこれはやるしかない。
そして起きる奇跡。大阪でうなぎ捕獲!!
そして静かに時は過ぎ、午前1時を回った。
場所は移動し、餌もフルで新品に交換。来る運命の午前2時を待つ。
なおこの間に何度か竿先が揺れたが、初日と同じキビレ。いまだ本命の気配はない。
そして午前2時を回り、いまかいまかと当たりを待つ。
時刻は2時を過ぎた時だった。ダメもとで橋のケーソン辺りに投げていたペットボトル方向から何か音がした。
パタン
マジか。いやキビレだよな?
すぐに駆け寄ってドキドキしながらペットボトルを手に取ろうとする。
しかし、そこに転がっているはずのペットボトルがない。慌てて川を見ると水中に浮かぶペットボトルの姿が。
身体を乗り出し、なんとか掴み、キャッチ。
一呼吸おいて巻き始めると、アイツならではのローリング。
水面でクネクネとする姿を見るなり、テンションぶち上げの筆者。
絶対に落とさないようにゆっくりと抜きあげて…。
会いたかった!!
大本命の大阪産初うなぎ!!
2日間全く音沙汰がなかっただけに感無量の一言。
しかし、それだけでは終わらなかった。
一番太いドバミミズを付け、遠投していたワーシャの竿先がクンクンと2回入る。
すぐに合わせたところだが、うなぎに早合わせは禁物。じっと待って思い切り合わせると凄まじいトルクのある引き。
走るわけではなく、あくまで体全体を使って抵抗してくる感じだ。
この引きは間違いなく良型。
足元まで来て白いお腹が見えた。ハリスは4号なので油断はできないが、ここも慎重に抜きあげて…。
ワーシャでうなぎ!!
ゆうに60cmはありそうなビックなうなぎ!!
まさか2本連続ヒットになるとは。完全に時合だった。
そしてまた来年へ!うなぎ釣りは最高です。
結局この2匹で釣果は終了。
というかこれ以上は望めない。アウェーの地としては上出来以上の大満足の結果だ。
ホテルに戻った後はすぐに捌き、保冷剤と共に飛行機で北海道へ。
泥臭さは心配だったが、そんなものは皆無だった。今まで食べたうなぎの中でも一番といっても過言ではない旨さだった。
これも全てはあのうなぎ仙人おじさんのお陰だろう。また来年も来れるか分からないが、ぜひまた本州でうなぎ釣りをやりたい。
そしてどんなジャンルであれ、様々な出会いがあるから釣りは辞められない。
後日?うなぎ調理編もあり?