さて季節はあっというまに秋。
あれほど暑かった夏も少しは落ち着きをみせ、スーパーにはキノコやサンマ、そして鮭など美味しい食材が並ぶようになってきた。
そんな食欲の秋のこの時期になるとよく聞くのが”イクラを食べると痛風になる”というワードじゃないだろうか。



痛風はそもそも贅沢病ともいわれ、普段から美味しい食材を食べている人ほど痛風になりやすいという認識が持たれている。
確かにイクラは回転ずしなどでも濃い方のお皿に分類される超ぜいたく品。SNSなどを見ていてもイクラは美味しいけどプリン体が高いし…。といった書き込みを目にするし、実際筆者も以前までイクラ=痛風というイメージで生きてきた。
だが実際鮭釣りをしていて年にキロ単位でイクラを消費しているが、一度も尿酸値が基準を超えたことはない。
となると果たしてその情報は正しいのだろうか。調べてみると衝撃の事実が明らかになる。
実は低い!?イクラのプリン体で驚きの結果が。
では実際に100g辺りのイクラのプリン含有量をみてみよう。
ウェブで「イクラ プリン体」と検索すると出てきたいかにも痛風に権威がありそうな(失礼)”公益社団法人 痛風・尿酸財団”によると食品はプリン体の含有量に応じて4段階に分類されるという。
プリン体含有量 | 基準 |
300mg以上 | 極めて多い |
200~300mg | 多い |
50~100mg | 少ない |
50mg以下 | 極めて少ない |
ちなみに極めて多いに分類されるのが白子やあんこうの肝(酒蒸し)。



この二つは一時期SNS上でも流行った痛風鍋の主原料ともされ、もちろん食べたらめちゃくちゃ旨いが、これらを満腹まで食った日には即痛風になるんじゃないかと疑ってしまいそうなほど、ビジュアル的にも印象的にもプリン体が高そうな食べ物である。
は果たして我らがイクラちゃんのプリン体含有量はというと…。



なんと3.7と”極めて少ない”に分類される食品に!
この数値は私たち日本人の主食”白米”よりも少ないプリン体含有量となる。うーん。今まで体に罪悪感を感じながら丼に溢れるほどのイクラを食べていたのだが、ただの取り越し苦労だったようだ。
実はプリン体は細胞数や細胞分裂の活発さなどと関係しており、イクラはあの一粒で一つの細胞なので、さほどプリン体量も多くないというわけらしい。






こうみるとイクラをばくばく食べてもなにも問題なし!と思われてしまいそうだが、一つ気を付けたい点がある。
というのもイクラはコレステロールの値が非常に高く、成人男性が一日のコレステロール平均摂取量300~350㎎前後に対し、イクラは100g辺り480 mgも含まれている。
もちろん食事によるコレステロールの摂取は血中のコレステロール値には直接的に影響を与えないらしいので、過度に数値が高くない人はあまり気にしなくてもよさそうだが、卵並みに数値は高いので食べ過ぎには気を付けよう。
ちなみにビールのプリン体は?



なおプリン体でよく聞くビールもイクラと同基準の100ml辺り3.3~8.4mg。一見するとビールも問題なし!?と思われそうだが、こちらは原料の酵母・麦芽に含まれるプリン体がプリン体の中でも血清尿酸値を上昇させやすいという”プリン体界のエリート”のような存在なのでNG。
そもそもアルコールは体内で分解される段階で尿酸が作られてしまうのでダブルパンチで痛風街道まっしぐらとなってしまう。
まとめ!イクラを食べても痛風になる確率は低い。
そんなわけで今回は長年の謎であったイクラを食べすぎると痛風になる話題について調べてみた。
その結果イメージからしてプリン体が含まれていそうなイクラであったが、実はプリン体含有量は非常に低く、私たちの食生活にほとんど影響がないことが明らかに。



むしろ白米よりも低いのは驚きの数字だった。その他の食品全体で見比べても圧倒的に低い数値なわけだが、いったいなぜイクラにこのようなうわさがたったのか。そちらの方が疑問である。
いずれにしても食べ過ぎはNG。
適度な量をいただきながら美味しい秋の味覚を堪能することとしよう。