NEWモアザン カムイトゥクシーをどこよりも詳しくインプレッション。この竿を買った理由とは。

恐らくこのページを見に来ていただいた方は今年発売になったあの竿が気になって検索していただいたのだろう。

鮭(アキアジ)釣り最強ロッドといっても過言ではなく、冬の海アメにも最高のあのロッド。

morethan 121XH Kamuy Tuxy
(モアザン 121XH カムイトゥクシー)

発売は9月の中旬。実は筆者の元にもほんの数日前に届いたばかり。
まだ買おうか悩んでいる迷える釣り師の貴方へ。少しでも参考になれば幸いだ。

ダイワ カムイトゥクシー、前のモデルと何が変わった?


このカムイトゥクシー、ご存知の方も多いと思うが今回で三回目のモデルチェンジとなっている。

初 代 モアザン 12XH Kamuy Tuxy
2代目   モアザンAGS 121XH Kamuy Tuxy
3代目 モアザン 121XH Kamuy Tuxy

ラインナップは以上の通り。初代が発売されてからすでに10年が経過しており、AGSガイドを採用した2代目が2014年頃からの発売。
ダラダラと書きつづるよりも分かりやすい簡易スペック表を作成したのでご覧いただきたい。

全長継数自重ルアーライン
初代12ft3本/仕舞寸:127㎝280g40-80gPE1.2-2号
2代目12ft1inch3本/仕舞寸:129cm252g40-80gPE1.0-2.0号
3代目12ft1inch3本/仕舞寸:129cm326g40-80gPE1.0-2.0号

パッと見ると全長、対応ルアー重量などは過去のモデルと変わらず。
しかし黄色くマーカーで塗った重量のところに注目していただきたい。

なんと5年以上前に発売された前モデルよりも74gも増量されている。
確かに前モデルは軽量化に特化したタイプとなっており、ダイワの誇るAGSガイドを採用している。

しかしAGSガイドを採用していなかった初代モデルと比べてもその差は歴然だ。

通常、釣り具というと年数を重ねるごとに軽量化されていくのが基本。(多少の誤差はあるが)

ではなぜ今回。最新モデルのカムイトゥクシーではこのような重量となったのか。次に詳しい製品特徴を見ていこう。

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NEWカムイトゥクシーの製品特徴について


この3代目は前回のAGSモデルから数えてもある程度の年数が経過しており、その間にダイワならではのテクノロジーが次々と開発されている。
使い心地・個性など正直に言うと全くの別物といっていい仕上がりだろう。

ちなみにカタログを見てみるとこの重量となった答えが見えてくる。

ダイワの公式HPによると「初代は超遠投性とルアー操作性を両立。二代目はストイックに軽さと感度を追求。この三代目は強靭性とキャスト性を追求。(ダイワ公式HPより引用 https://www.daiwa.com/jp/fishing/item/rod/salt_rd/morethan_121xh/index.html)」との記載。

つまりこの3代目はとにかくハイパワーかつタフな性能。そしてブレのないキャスト性能を重視することでこのような重量となったのだろう。

あくまでも軽さよりもパワーに全振り。3代目はある意味面白い進化を遂げているなと。今までのモデルのような軽さや感度を取るのか、どんな場面でも使えるタフさを取るのか

どちらを優先させるのかがこのロッドを選ぶかどうかの鍵となりそうだ。

前モデルよりさらに進化。SVF NANOPLUS(エスブイエフ ナノプラス)

このナノアロイテクノロジーは東レ®独自の最新技術。

通常カーボンにはある程度のレジンが含まれているのだが、このレジンの量を極限まで減らしたのがダイワの誇るSVF。

このただでさえ軽く高感度なSVFに東レ®ナノプラスを合わせることでさらなる高強度化・軽量化を可能にしている。

X45コブラシールド


カムイトゥクシーには多くの最新技術が搭載されているのだが、あまりカタログ的な情報を書いてもあれなのでここまでで。

恐らくブランクの強化でもっとも貢献しているのがこのX45コブラシールドといえるはず。
このX45コブラシールドが搭載されているロッドとしては他に、同19年に発売されたハイエンドクラスバスロッドのブラックレーベルが有名。

ネジレ剛性を高める±45°に斜行したカーボン繊維などを竿の最外層に巻き上げることによって剛性とキャスト時のブレとコントロール性をUPしている。

なによりこのコブラの革のような見た目も非常にカッコイイ。

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なぜAGSガイドを辞めた?


恐らくユーザーの中でも一番の注目はココじゃないだろうか。

AGS(エアガイドシステム)ガイドの廃止。

実は筆者もこの3代目が出るまでは初代か2代目の購入を考えていたのだが、このAGSガイドがネックとなり購入しなかった。
むしろローライダーガイドを採用して根強い人気のあった初代の購入を考えていたほどだ。

というのも確かに他メーカーで一般的なハイエンドモデルに採用されているチタンガイドと比べると、AGSは約40%も軽量とされている。
軽くなるということは感度はもちろん、キャスト時の振り抜けも良くなるのは周知の事実。

だがその一方で傷に弱く、少しでもヒビが入ろうものなら一発ノックアウト。

そう。これがこの竿の購買層とする北海道の秋鮭・アメマスをターゲットとするアングラーには時にデメリットとなるのだ。

少し想像してみてほしい。

このロッドはもともと極寒のサーフや磯、テトラでの劣悪な環境で使用するアングラーが非常に多い。

となるとどれだけ大事に扱っていても、岩などに足を取られ、うっかりどこかへぶつけてしまうなどのアクシデントは簡単に起こりうるだろう。
実際筆者もテトラに足をぶつけて竿をぶつけてしまったことが幾度とある。

これがチタンなら傷が少々入ったとしても、その後の釣り自体には影響は起きにくい。
しかしもしAGSガイドなら…。そう考えるとある程度の軽さを捨ててでもやっぱり従来の金属製ガイドがありがたい。

このチタンガイドの採用が今回筆者がカムイトゥクシーを購入してみようと思った大きな理由の一つ。

事実、軽量化と感度に特化した2代目はガイドを始めとした強度に関するトラブルの話を幾度となく耳にしていた。

少し迷ったワイズマンT150ーM5

実は今回のカムイトゥクシーと購入を迷った竿がある。

それが同じくダイワから発売されているワイズマンT150ーM5。

こちらは発売されてから間もないこともあり、カムイトゥクシーと同じESSや3DXなどを搭載している。
長さも15fと異次元の物となっており、筆者が求めていた圧倒的飛距離は稼げるだろう。

価格帯も同程度。中古の玉は少ないがある程度は出回っているので安く購入することも可能。

しかしその長さ故に、テトラや岸壁などあまりテイクバックを取れない場所では使用が難しくなることから購入を断念した。

新カムイトゥクシーを実際に手に取ってみて

まず手にとってみて感じたのが、とにかくブランクスが太い。
ジャンルは異なるが、青物ロッドの代表コルトスナイパー(1006h)と比較してもその差は歴然。

左がコルトスナイパー、右がカムイトゥクシー。

正直パッと思った感想はガチガチだなと。
このブランクスのお陰で圧倒的な飛距離とパワーをものにしているのだろう。
コンセプトとしても曲げて取るという竿ではない。

photo@ぶっ飛びさん

まさにカタログに記載されている通りの強靱性に特化したロッドなのだろうと。
例え100m沖で画像のようなランカーサイズ(80cmクラス)のアメマスを掛けたとしても、対等なファイトを繰り広げてくれそうだ。

逆に言うと70cmクラスの平均的な鮭(アキアジ)にはオーバーパワーとも言えるかもしれない。またロッドを気持ちよく曲げて取りたいというアングラーには恐らく強すぎて使いにくいだろう。

とにかくそれくらいの圧倒的パワーを感じた。

振ってみた感想


使用リールは18ステラc5000XG。ダウンロック式のリールシートとの相性は良い。

手元に商品が届いてからまだ数日。とりあえず先日の道南サーフでのアキアジ釣りに使用してみた。
使用したルアーは40g~60gまで。

第一にまず本当に振り抜けがいい。まさにブレのなさというかまっすぐ狙い通りのポイントへルアーを運んでくれる感触。
そして小さな餌取りの当たりにも手元にしっかりと伝わってくることから感度についても申し分ない。

ただ40gだとどうもバットに乗せ切れている感じがしない。飛距離もそこまで抜群には伸びず。
なので個人的意見だが使用ルアーとして飛距離が伸びるのは50g以上かなと。

ジグについてはまだ未キャストだが、浮きルアーですらこのキャスト性能なら80gなどを使用すれば100mは軽くかっ飛んでいきそうなポテンシャルを感じた。

ターゲットが遠い荒れた極寒期の島牧などの冬アメ・冬サクラで使用すれば間違いなくその威力を発揮するはずだ。

詳しい感想はもう少し使い倒してからの実釣インプレの記事にて。

今回3代目のカムイトゥクシーを購入したわけ。


カムイトゥクシーは高い。市場価格はざっと7万前後。
アホが付くほどの釣りバカの筆者でもさすがにこの値段がネックで少し購入を迷っていた。

ただ昨年の道南アキアジゲーム、そして冬場のサクラ・アメマスを体感して思ったのが

”もっと飛距離を伸ばしたい”

実際、昨年秋にこちらで浮きルアーをしていた際にゆうに13fはあろうかというロングロッドで飛ばしまくっているアングラーがいた。
その時の筆者のロッドは10f。全く歯が立たない距離へと飛ばし、ガンガン鮭を掛けていた。ほぼ同じルアーのシステムにも関わらず。

それならば。今年はあのアングラーより遠くへ飛ばしてやろうじゃないかと思ったわけだ。

そう思って調べた末に辿り着いたのがこのカムイトゥクシーだった。


そしてAGSモデルの特徴とも言えるゴールドがリールシート付近などに入った前モデルとは違い、落ち着きのあるシックな大人な仕上がりの外見なのもお気に入り。

こんな人におすすめしたい。

ではNEWカムイトゥクシーはいったいどんなアングラーに向いているだろうか。
簡潔に以下へまとめてみた。

・コンディションの悪い釣り場を含め、ヘビーなルアーを投げ続けるユーザー
・鮭or海アメなどを掛けてもガンガンやり取りしたい方

軽くて感度重視、繊細なファイトを楽しみたい方にはこれまでの2代目が向いている。
逆に劣悪な環境でも気にせず振り抜き、追い求めている一本を狙う方にはこれ以上ないロッドなはずだ。

まとめ・鮭(アキアジ)海アメ最強ロッドを貴方にも。


そんなわけで今回は2019年9月に発売されたばかりのNEWロッド「モアザン 121XH カムイトゥクシー」を解説してきた。

何度も言うがこのロッドは非常に高価なロッドだ。中級クラスなら2本買ってもおつりが来るレベル。正直ただ鮭を釣るだけならここまでのハイスペックさは必要ないのかもしれない。

しかしそれ以上に上手く扱うことが出来れば最高の相棒になってくれる事は間違いない。

歴代カムイトゥクシーでもっともパワフルなブランク。そしてトルク。まさに最強の対モンスター鮭(アキアジ)・海アメロッドといっても過言ではないだろう。

なによりも。このロッドさえあればまだ見ぬ怪物に出会える気がしてならない。