釣り人のみなさまにとって「fish sale」の一件はまだ記憶に新しいのではないだろうか。
サービスの内容自体は「釣った魚を個人間で売買することができるシステム」という今までに類を見ないもの。
https://fishingoood.com/fishing/fish-sale/
よって同サイトでは”釣り船、釣り人、魚屋、飲食店にとって、大変有効な取り引き手段”と謳っていた。
しかし、このサイトにはプレスリリース当初から様々な問題を懸念されており、別の意味で話題となる。
(2月16日のyahooトップニュース)
当ブログでも一度取り上げたが、facebook、twitterなどのSNS上はもちろんのこと、
2月16日には同サイトがyahooトップニュースを飾り、釣り人だけではなく一般人にも広く知れ渡ったはずだ。
そんな世間の注目を集めた同サイトだが、3月18日に期限未定でのリリース延期を言い渡した。
では、今になって突如休止となった理由は何なのか。
甘い危機管理、投げっぱなしの運営方針
もともと同サイトには”食中毒のリスク、漁業者との対立の恐れ、魚の乱獲”などの危険性が当初から懸念されていた。
その中でも大前提として”食品衛生法など日本の法律に抵触する可能性”に、一般人からの疑問の声が相次ぐ。
他にも重要な点はあるのだが、まずサービス自体が法に触れていないかというスタートラインから怪しかったのだ。(グレーゾーンからスタートしようとするのもおかしな話だが)
この問題に対し「fish sale」の公式facebookでは
fishsale facebookより
との回答を示した。
しかし、同投稿内のQ&Aを見ていただきたい。
ここで恐ろしいのが、メルカリなどの一般的な個人売買サービスと違い、食品(魚)を扱う以上、食中毒のリスクがあることだ。
毒魚などを市販し、場合によっては死に至る可能性も十分にあり得る。
もちろん問題が発生した場合に運営が全ての責任を取る義務はないが、少なくともこのようなリスクが起きないよう努めるのがサービス提供者としてあるべきものだろう。
しかし、同サイトでは驚きの発言が行われている。
・毒のある魚一覧(写真付き)
・海洋生物(魚)レッドリスト一覧(写真付き)
・発泡スチロールを安く買える
fish sale公式facebookより
このように、そもそも行うべきはずの危機管理を他人任せにしているのだ。
例えば、心優しい誰かが毒のある魚一覧のサイトを提供したとして、そのページに誤りがあり、食中毒が発生したとする。
その場合は恐らく、上記までの回答から推測するにWEBサイト提供者に責任を擦り付ける可能性が大。
このような無責任な運営で果たして上手くいっただろうか。
今回、同サイトがサービスの提供の延期を決めた理由には危機管理をもう一度考え直す必要が生じたことが第一として考えられるだろう。
実際fish saleがサービス開始を延期した発表にも「食中毒につながらない予防策の検討」が含まれている。
拭いきれない乱獲の危険性。
次に資源保護の観点から見ていこう。
fish saleで売買される商品は陸、船釣りなどの区別はあるものの、100%が釣りによって得られた魚。
これによって生じる問題が「少しでも多くの魚を売るために乱獲」という点だ。
魚は決して無限にいるものではない。
全ての利用者が節度を持って最低限の魚を取引するならいいものの、中には金目的でむやみやたらに乱獲する人々が必ずといって出てくるだろう。
現時点の規約でfish saleがサービスを開始すると、そのような乱獲を促し、資源を枯渇させる原因になる危険性がある。
実際、筆者のフィールドである北海道では昨年、
1999年から続いていた河口での釣りを禁止。
といった規制の強化が行われ、北海道の釣り師に大きな衝撃を与えた。
また全国規模で見ても、駿河湾産のサクラエビ(魚ではないが)の漁が昨秋漁の全面禁漁を決めるなど、水産物全般が年々減少傾向にあるのは明らかだ。
資源保護に関しても、今後同サイトはどのような対策を取ってサービスを開始するのかに注目しなくてはならないだろう。
まとめ・今後どのようにリリースされるのか疑問が残る
以上から、fish saleが4月のリリースを延期したのは以下の要因がもっとも大きな課題とみられる。
・資源保護
もし仮に現時点の状況でサービスを開始していれば、ほぼ間違いなく何らかのトラブルが発生していただろう。
運営を行う以上、場所だけ貸すからあとは自己責任ね。でも手数料はもらうよ。といった無責任な考えでは到底利用者は納得しないだろう。
果たして今後、これらのリスクをどのように回避して運営を再開するのか、今後の動向に注目していきたい。